人工臓器
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化学構造が異なる新規含フッ素ポリイミド膜のガス交換能と血液適合性に関する基礎研究
川上 浩良長岡 昭二窪田 倭
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1996 年 25 巻 2 号 p. 427-431

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抄録

フッ素基を有する新しい芳香族ポリイミド膜を合成、膜型人工肺材料としての可能性を検討するためその化学構造とガス交換能、血液適合性の相関をin vitro in vivoで評価した。ポリイミド非対称膜は乾湿式法により作製し、その構造は緻密な超薄膜skin層と支持体である多孔質層から形成された。ポリイミド非対称膜の表面skin層は無欠陥であるため血漿リークはなく、ガス交換能も極めて高い。その酸素流量・炭酸ガス除去量はシリコーン膜に比べ約25倍向上し臨床応用可能なガス流量を示した。ポリイミド表面の血漿タンパク質吸着量、血小板粘着量はアミノ酸分析により算出した。タンパク質量、血小板量共にシリコーン膜に比べ著しく減少した。末梢静脈内留置法よるin vivo実験でもポリイミド表面には血小板粘着やフィブリンの析出は殆ど見られなかった。以上より、含フッ素ポリイミド膜は高いガス交換能と良好な血液適合性を示すことが明らかになった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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