抄録
新規な血液抗凝固タンパク質であるヒトトロンボモジュリン(hTM)をセルロースフィルムおよびセルロース中空糸に固定化し、活性を測定した。またhTMが固定化されたセルロース中空糸からなる血液潅流ミニモジュールを作製し、その抗凝固能を検討した。セルロース表面上に固定化されたhTMの量は、従来のポリアクリル酸グラフト表面を用いた場合の1/10程度であったが、プロテインCの活性化能は従来の方法のものと同程度であった。in vitroでの血液との相互作用の検討では、hTM固定化表面では血栓の付着は見られず、また血小板の粘着もわずかであった。hTM固定化ミニモジュールを通過したヒト全血は、凝固時間が延長していた。固定化hTMは血液接触面積を大きくすることで、高い抗凝固活性を示すことができることが明らかになった。このhTM固定化モジュールは、新しい血液抗凝固化ユニットとして期待できると考えられた。