公共政策研究
Online ISSN : 2434-5180
Print ISSN : 2186-5868
研究ノート
POLICY NETWORKS AND POLICY CHANGES
SAGARA Takashi
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2002 年 2 巻 p. 127-145

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抄録

本稿は,東京都における「ディーゼル車No作戦」の研究の一部であり,本稿では,なぜ東京都がディーゼル車政策を大きく変えられたのかについてポリシーネットワークの理論を用いて分析する。本稿の1節目においては,ポリシーネットワークとポリシーチェンジについての英国における理論の説明を行う。1節目では,まず始めにポリシーネットワークの概念とその仕組みについて見てみる。次に,ポリシーネットワークの2つの型,つまりポリシーコミュニティとイシューネットワークについての説明を行う。そして般後に,1節日においてはポリシーチェンジとポリシーネットワークについての考察を行う。

ポリシーネットワークとポリシーチェンジの説明を終えた後,本稿は東京都の「ディーゼル車No作戦」について考察する。ただし,本稿の目的はどのようにしてディーゼル中に対する環境政策が東京都によって変えられたのかという,ポリシーチェンジについて考えることであり,その他の政策過程を見ることではないので,どのようにその政策が実施されたかについての説明は本稿では行わない。2節目では,まず日本国内と世界におけるディーゼル車に対する環境政策について見てみる。これらのことを考察することは,ディーゼル車規制におけるポリシーネットワークの特徴を理解するために不可欠である。日本と世界のディーゼル車政策の杓察後,この節では,束求都における「ディーゼル車No作戦」がどのようにして生まれたのかについて見てみる。

本稿の3節目では, 1節目で説明したポリシーネットワークとポリシーチェンジの理論を用いて,ディーゼル中に対する環境政策と東京都の「ディーゼル車No作戦」の分析を行う。この節においては,まず理論を用いてディーゼル車政策をめぐるポリシーネットワークの分析を行い,その後東京都で起こった「ディーゼル車No作戦」というディーゼル車政策におけるポリシーチェンジの分析を行い,最後にポリシーネットワークとポリシーチェンジの理論が東京都のケースに当てはまるかを検証する。そしてその結果,(1)日本のディーゼル政策におけるポリシーネットワークは,関係省庁と自動車業界を中心にして形成されたポリシーコミュニティであること,(2)東京都におけるポリシーチェンジはいくつかのポリシーチェンジに必要な要素が組み合わさり引ぎ起こされたこと,そして(3)ポリシーネットワークとポリシーチェンジの理論は,束点都のケースに当てはまることが判明する。

そして,本稿は,最終節において,以下の3つの結論に逹する。(1)ポリシーコミュニティがある場合は,ポリシーコミュニティはポリシーチェンジの大きな妨げとなり,ポリシーコミュニティからは,革新的な政策は生み出されない,(2)ポリシーコミュニティが存在するにも関わらず,革新的なポリシーチェンジが起こることは可能だが,それにはいくつもの要素が同時に揃うことが必要であり,そういったことが現実に起こることは難しい,(3)地方自治体には,ポリシーチェンジをもたらす可能性がある。

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© 2002 日本公共政策学会
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