抄録
遠心ポンプは今日著しい進歩を遂げつつある。我々は遠心ポンプとローラーポンプの開心術使用における血液損傷の程度を比較検討するために、日機装社製HPM15, N群14名BioMedicus社製Biopump, BP80 B群10名, Terumo社製Capiox SPポンプ, C群10名, SJM社製Lifestrem, L群10名, トノクラ医科工業社製ローラーポンプ, R群10名について待機的冠動脈バイパス手術を施行し、人工心肺中の溶血指数, β thromboglobulin: β-TG, 血小板数を測定した。repeated measures ANOVA法にて解析すると各群間に溶血指数, 修正血小板数, β-TGに有為差を認めなかった。one way factorial ANOVA法で解析すると、いずれの遠心ポンプ群も血小板損傷がローラーポンプ群より少ない傾向にあり、N群はR, B, C群に比べて溶血が少ない傾向にあった。結論として、開心術使用において遠心ポンプとローラーポンプ間に血液損傷に顕著な差は認められないが、遠心ポンプの開心術使用の有用性が示唆された。