人工臓器
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電気化学発光免疫センサーの開発
-抗体定量とその発光メカニズム-
原本 浩隆吉見 靖男酒井 清孝
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1996 年 25 巻 3 号 p. 683-687

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抄録

免疫抑制剤の至適投与量の指標となる抗原量や抗体量をリアルタイムで監視するシステムの開発が本研究の目的である。我々は、連続的かつ簡便に操作できる電気化学発光フローセルを試作し、免疫定量法への有効性を確認した。また、抗原抗体反応によって発光強度が変化するメカニズムの解明も試みた。分子量および荷電の異なる抗原にルミノールを標識し、水溶液および血漿混合水溶液中での抗体定量と、水溶液中での標識抗ヒト血清アルブミン(HSA)抗体によるHSA抗原定量を試みた。0~2.2mg/mlの抗HSA抗体、0~200μg/mlの抗免疫グロブリンG抗体の各抗体濃度範囲と、0~3.8μMのHSA抗原濃度範囲で、水溶液中の発光強度が増大した。血漿中でも抗体量に伴って、標識抗原の発光強度が増大した。本法は水溶液系および血漿系での抗原抗体定量に有効であること、さらに発光強度増大の原因は、抗原抗体反応によるルミノール発光の量子収率の増大にあることが示唆された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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