抄録
翼列理論を用いた軸流式血液ポンプ設計法の問題点について考察する. まず, 設計点を設定し, 性能が既知の翼形を用い, 翼列理論に基づき, 翼の迎え角と長さを計算する. 被験ポンプは, 設計点が流量6L/min, 揚程90mmHgにて回転数14000rpm, 比速度898のポンプAと, 回転数22000rpm, 比速度1412のポンプBである. 翼形はNACA No. 6409を用いた. ポンプAの14000rpm, 6L/minでの発生揚程は65mmHgと設計値である90mmHgに至らず, 最高効率点はシフトした. ポンプBの22000rpm, 6L/minでの発生揚程は128mmHgと設計値を越え, 見込み以上の効率を示した. 比速度1200以上で設計したポンプは高い効率が得られた. 比速度の低いポンプは, 効率が低く, 最高効率点がシフトし, 翼列理論による設計には限界があると思われた. 1また, 翼の剥離域が使用域と重なっており, 使用域が制限される可能性が示唆された.