人工臓器
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透析中の著しい血圧低下を早期発見する新い透析監視システムの研究
長見 英治斎藤 晃内田 幸男右川 康隆山崎 英隆市川 久志青木 康之清水 学堀川 哲彦犬丸 達也新井 貴士百瀬 卓志古村 正守尾 一昭渡部 敏雄松崎 健三佐野 元昭小出 桂三
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1997 年 26 巻 2 号 p. 423-428

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抄録

透析中におこる血圧低下を早期発見する新しい透析監視システムの研究として、血液回路の動脈側および静脈側の圧差(以下AV圧差)の連続モニターを18症例に対し実施し、収縮期血圧(SBP)との関係を調べ、以下の知見を得た。AV圧差の変化率とSBPは17症例で、有意な相関関係が認められた。相関がとれなかった1症例は、降圧剤服用患者であった。また、透析開始0.5時間後のAV圧差の上昇率では、2症例(女性、60歳以上、DM)において他の症例と比較して有意な上昇があった。今回検討したのべ回数157回中、100mmHg以下にSBPが低下したの1は21回で、AV圧差の変化率が+20%付近でSBPが低下することが分かった。AV圧差の変化率の上昇を+20%未満にとどめることで、透析中の血圧低下を防ぐことが可能であった。以上より透析中AV圧差を連続モニターすることは臨床上有用であると思われた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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