人工臓器
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寒天ゲルを用いた携帯型人工腎臓の基礎検討
山下 明泰崎山 亮一
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1997 年 26 巻 2 号 p. 429-432

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抄録

寒天中に活性炭や酵素を分散させた溶質除去装置を試作し、その溶質除去特性を水溶液で評価した。水道水300mlに寒天粉末を加え、そのままの状態、活性炭8.0gまたはウレアーゼ0.5gを分散させてから、底板に60個の小穴が開いたアクリル管中で固化させた(各々、モジュールA、C、U)。これらの寒天ゲルの長さ方向に、直径3mmの小穴を20個あけ、血液の流路を確保した。クレアチニン、ブロモフェノールブルー(以下BPB)、あるいは尿素の水溶液800mlを疑似体液とし、流量200ml/minで各モジュールの評価を行った。クレアチニンの濃度は、モジュールAを用いると10%程度の低下にとどまったが、モジュールCを用いると8時間に渡って徐々に低下し、最終値に収束した。BPBの場合モジュールCでは、48時間以上に渡る緩徐な除去ができた。またモジュールUにより、尿素の連続分解も可能であった。これらのモジュールと小型濾過器を組み合わせ、携帯型人工腎臓を構築できる可能性が示唆された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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