人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
PHEMA-PSt-PHEMA ABA型ブロック共重合体表面における44℃浸せき粘着血小板の超微形態学的解析
阿部 一彦鈴木 憲岡野 光夫桜井 靖久堀江 俊伸
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 26 巻 2 号 p. 476-484

詳細
抄録

正常血小板を44℃に1時間浸せきすると、血小板膜糖蛋白(GPs)、特にGPIIb/IIIaの機能がほとんど失われることが知られている。本研究は、ミクロドメイン構造を有するPHEMA-PSt-PHEMA ABA型ブロック共重合体(HSB)表面に対するGP IIb/IIIaの機能を阻害した血小板の粘着に伴う超微形態変化に注目し検討を行った。特に、血小板の透過型電子顕微鏡(TEM)像の画像処理解析による定量的な評価法の確立を目指しながら研究を進めた。ミクロドメイン構造表面に対して、疎水性の均一表面を有するPSt、PHEMA-PStランダム共重合体(HSR)表面を対照群として検討を進めた。粘着血小板のTEM像から、その周囲長、最大長、幅、面積、丸さの度合い、凹凸の度合い、針状の度合い、1μm2当たりの貯蔵顆粒数について解析した。PSt、HSR表面では、正常血小板のとき粘着に伴い大きな超微形態変化が認めらるのに対し、GPIIb/IIIaの機能を阻害した血小板ではその変化は小さくなることが観察された。一方、ミクロドメイン構造表面のHSBでは正常血小板でその超微形態変化が抑制されていたことに加えて、GPIIb/IIIaを阻害しても血小板の粘着変化に影響しないことが確認された。[略語:PHEMA、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート);PSt、ポリスチレン]

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top