人工臓器
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長時間施行によるビリルビン吸着筒の経時的吸着効率に関する検討
今泉 均佐藤 公一明田 克之佐藤 守仁吉田 正志七戸 康夫浦 信行金子 正光
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1997 年 26 巻 2 号 p. 504-507

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抄録

高ビリルビン血症患者に対して, ポリスチレン系多孔性陰イオン交換樹脂を用いたビリルビン吸着筒(メディソーバBLR, クラレ社製)による血漿灌流(流量:25ml/min)を, 総ビリルビン(T-Bil)の吸着率が30%以下になるまで施行し, 11回のビリルビンと胆汁酸の吸着率を経時的に検討した.
血漿灌流施行前のT-Bilは6~19mg/dl(12.3±5.3mg/dl)で, 直接ビリルビン(D-Bil)は6.3±2.2mg/dl, 間接ビリルビン(ID-BiDは6.0±2.1mg/dlであった. 血漿灌流施行時間は7~18時間(13.6±3.3時間)であり, 血漿灌流開始7時間後の吸着率は, T-Bilで45±7%, D-Bilは38±7%, ID-Bilは54±11%, 胆汁酸は60±8%であった. 血漿灌流後に血小板の有意な減少を認めなかったが, フィブリノーゲン(Fbg)は有意に減少した.
血漿灌流開始7時間程度までは30%以上のBil吸着が可能であるが, Fbgの低下など止血・凝固系の変化に注意が必要である.

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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