人工臓器
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携帯型人工膵島の長期臨床応用の試み
―超速効型インスリンアナログを用いたclosed-loopインスリン皮下注入アルゴリズムの開発―
下田 誠也西田 健朗榊田 典治今野 由美一ノ瀬 賢司上村 毅郎上原 昌哉七里 元亮
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1997 年 26 巻 3 号 p. 739-743

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抄録

微小針型ブドウ糖センサを備えた携帯型人工膵島の長期臨床応用には、インスリンは皮下注入とする事が望ましい。だが、携帯型人工膵島による速効型インスリン(REG)皮下注入時に生理的インスリン動態を再現することはできない。そこで、超速効型インスリンアナログ(Insulin Lispro)を用い、インスリン皮下吸収モデルを作成、インスリン皮下吸収時の血漿インスリン動態を数値解析し、血糖値に対する比例・微分動作に基づくclosed-loopインスリン皮下注入アルゴリズムを試作した。さらに、simulationに基づき追究した至適パラメータの選択により、本アルゴリズムの応用は、膵全摘糖尿病犬及び糖尿病患者の血糖応答反応を臨床上、有用な範囲に制御し得た。これらの事実は、超速効型インスリンアナログ(Insulin Lispro)を用いたclosed-loopインスリン皮下注入アルゴリズムが、携帯型人工膵島の長期臨床応用において有用かつ安全であることを示唆した。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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