人工臓器
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人工膵を用いた急性膵炎例の血糖管理と血清トリグリセリド、遊離脂肪酸の検討
星野 正巳酒井 基広三枝 弘志西村 洋一林 和城大澤 寛行原口 義座
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1997 年 26 巻 3 号 p. 744-748

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抄録
【目的】急性膵炎例の脂肪代謝は病態評価に有用と思われるが, 血清脂質は血糖値で変動する為、正確な評価には血糖・栄養投与を安定させる必要がある. この目的で人工膵を用いた. 脂肪代謝の特徴, 人工膵の意義を検討した. 【検討項目】対象は急性膵炎10例臓器障害, 代謝量, 耐糖能, 膵酵素等, 脂肪代謝として血清トリグリセリド(TG), 遊離脂肪酸(FFA)を検討した. 【結果】1)I/E(インスリン/エネルギー(グルコース)投与量)比は78±42mIU/kcalと高度耐糖能障害を認めたが1日平均血糖値は180±25mg/dlと良好であった. 2)代謝量とTGに負の相関, 3)臓器障害の進行に伴うTG増加, 4)血中アミラーゼ上昇に伴うTG低下, 5)I/E比増加に伴うFFA増加を認めた. 【考察】TGは代謝亢進, 臓器不全, 膵酵素上昇で変動し、末梢利用や肝産生, 血中での分解によると考えられた. FFAと耐糖能増悪との密接な関連がみられた. 【結語】急性膵炎では脂肪代謝障害がみられ, 人工膵は血糖制御と脂質代謝の評価に有用と考えられた.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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