抄録
ダブルルーメンカテーテル留置後のトラブルの一つとして"へばりつき現象"が挙げられる。このトラブル防止を目的として動静脈孔の中間に2mlのバルーンを有するカテーテルが開発された。このカテーテルを15例に10日~28日間使用し、トラブルの発生状況を検討した。血液透析時バルーンを拡張、非透析時縮小した12例では、1例に刺入部の発赤、2例に血栓がみられたが、残り9例においては"へばりつき現象"を含めたトラブルの発生を認めなかった。血液透析時にもバルーン拡張を行わなかった3例中1例に"へばりつき現象"と考えられる血流低下がみられ、バルーン拡張を行うことにより、充分な血流量が得られた。以上より、バルー・シ付きダブルルーメンカテーテルにおいては感染、血栓等のトラブルは残るものの、"へばりつき現象"は回避できるものと考えられた。