人工臓器
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血液濾過を行った血液充填による体外循環中の接触因子の変化
櫻井 一前田 正信中山 雅人竹村 春起早川 政史杉浦 辰美坂本 亮輔小山 富生
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1998 年 27 巻 1 号 p. 68-71

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抄録
MAP液添加濃厚赤血球(RC-MAP)とアルブミン液による回路内充填液に対して血液濾過(HF)を行い, これを用いた開心術でHF前後と体外循環(CPB)前後の接触因子の変動を検討した. RC-MAP, HF前, 後, 濾液, CPB前, CPB5, 60分後, CPB終了時の, 高分子kininogen(HMWK), prekallikrein(PK), 血液凝固第XII因子(F XII), bradykinin(BK)を各10検体測定した. 充填血液の希釈や回路との接触により, HMWK, PK, F XIIは消費され大量のBKが産生されていた. しかし, HFによりBKはよく除去されていた. CPB開始後HMWK, PK, F XIIは希釈により低下したが, それ以外はCPB中有意な変化はみられなかった. BKは強い細動脈拡張作用と血管透過性亢進作用を有するため, 血液充填が不可欠な新生児, 乳児期早期の開心術ではとくに, 充填血液に対するHFがCPB開始時の初期血圧低下の防止や術後の浮腫の軽減に有用であると考えられた.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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