抄録
膜型人工肺は開心術、PCPS、ECMOなど短期から長期に及ぶ呼吸補助・代行に幅広く応用されている。膜型人工肺は、外部灌流型と言う血液を中空糸膜の外側に灌流するタイプのものがその大部分を占めるが、この型の人工肺では血液はハウジング内を自由に流れることができるため、同等の仕様でも設計により性能に差が生じる。しかし、人工肺の設計・開発はtry and errorによるところが多く、実際の人工肺の血液の流れの解析はほとんど行われていない。そこで我々は、実際の人工肺の流れ方に影響を与えると考えられる中空糸膜の集束方法およびハウジング形状に注目し、流れの計測を伝導度の異なる流体と電極を用いることで試みた。また、計測データに基づき3次元表示を行った。その結果、流入部での血液の拡散の仕方が性能に影響を与えることなどが考えられた。本システムの応用により膜型人工肺の性能向上および開発労力が改善できるものと考える。