人工臓器
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円錐-平板型剪断応力負荷装置と正立型落射蛍光顕微鏡による抗血栓性材料の新しいスクリーニング法
古川 克子牛田 多加志菅野 寛人大島 宣雄立石 哲也
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1998 年 27 巻 2 号 p. 507-513

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抄録
剪断応力の存在下で, 不透明さらに様々な形状(板, 膜, フィルター状など)の材料に粘着した血小板をリアルタイムで観察するために正立型落射蛍光顕微鏡と円錐-平板型剪断応力負荷装置からなる装置を開発した. 対物レンズをコーンの上部に配置し, モーターの回転をギアを介してコーンに伝えることによって, 不透明な材料に粘着した血小板のリアルタイム観察がはじめて可能となった. 本装置を用いて, 準静的な剪断応力のレベルである0.1dyn/cm2, 静脈レベルの5.0dyn/cm2, 動脈レベルの15dyn/cm2の3種類の異なる剪断応力下で, 不透明な材料であるePTFEへの蛍光標識血小板の粘着の挙動がリアルタイムで明瞭に可視化された. 20'の角度のコーンを作製することができたため, 直径が54mmの材料に対し500μlという少量の血小板懸濁液で, 血小板と材料との相互作用を解析することができた. 以上の結果から, 本法は, in vitroにおける抗血栓性材料のスクリーニング法として有用な手段になると考えられた.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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