抄録
経血管治療用カテーテルを用いた循環器疾患の治療においては、再狭窄などの二次的な血管傷害が引き起こされる場合がある。本研究では、血管傷害とその修復過程の加vfεro評価方法の開発を目的とした。血管内皮細胞をガラス円管内で培養する灌流培養システムを作製し、PTCA用バルーンカテーテルを用いて円管内の血管内皮細胞に圧迫刺激を加え、PTCAバルーン操作が内皮細胞の生存率に及ぼす影響を計測した。次に、バルーンカテーテルの操作条件について、拡張・与圧・減圧時間が細胞傷害に及ぼす影響を検討した。その結果、圧迫刺激後には圧迫部位のおよそ90%の培養内皮細胞が剥離することが観察された。またこの細胞剥離は、バルーンの減圧時間をコントロールすることによって減少できる可能性があることが確かめられた。以上の結果から、PTCA用バルーンカテーテルの操作条件を改善することが、治療後の再狭窄を予防する一手段になりうると考えられる。