人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
ヘパリン化人工肺の功in vitro実験における吸着蛋白の解析
城戸 隆行横山 研司野尻 知里奥村 厚生萩原 和彦野川 淳彦木島 利彦堀内 邦雄前川 純杉山 知子
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 27 巻 2 号 p. 519-523

詳細
抄録
人工肺表面にヘパリンを固定化し、ヒト血液を用いてin vitro循環実験後、吸着蛋白質の解析を行った。循環中の血小板数、白血球数、PMNエラスターゼ、C3aの濃度から、ヘパリン化表面は、血小板、白血球、補体の活性化を抑制することが明らかとなった。4時間の循環後、生理食塩水で人工肺を洗浄し、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む抽出液で抽出を行った。抽出液のSDS-PAGEによる蛋白質の分析から、ヘパリン化、未処理表面両方の吸着蛋白質は、血漿の蛋白組成と異なっており、表面の化学的性質が、蛋白質吸着に影響を与えていることが示された。Immunoblotにより蛋白質の同定を行ない、ヘパリン化表面には、アンチトロンビンIII(AT III)、apo E、Clq、factor H、Clエステラーゼインヒビター(CIINH)、C3aが特異的に吸着していることが明らかとなった。吸着量は、Clqが最も多く、全体の約50%を占めた。ヘパリン化表面の凝固系の抑制には、AT III、補体系の抑制には、factor H、CIINHの吸着が関与している可能性が示唆された。
著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top