抄録
我々は長期使用を目的とした磁気浮上型遠心ポンプ (MSCP) を開発中である. 左心補助におて心筋回復を期待する場合, 至適脱血部位は左房か左室かが重要な課題である. 今回, 成羊5頭を用い, 左房と左室の脱血部位の検討をMSCPによる左心補助にて行った. 心筋酸素消費量 (MVO2) を算出し, 左室にコンダクタンスカテーテルとミラーカテーテルを挿入し, 左室圧容積曲線を得, 補助流量を変化させ, 脱血部位を変更し比較検討した.左室の外仕事量は, 50, 75%補助では左房脱血のほうが左室脱血よりも有意に少ないが, 100%補助では左室脱血の方がより減少した. MVO2は両者とも補助の増加とともに減少し, 100%補助では左室脱血の方が有意に低値を示した. MSCPの左心補助では, 左房, 左室脱血ともにほぼ同等のMVO2減少効果があるが, 100%補助において左室脱血の方がMVO2は有意に低値を示し, 有用である.