人工臓器
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高度耐糖能障害を伴った重症救急患者に対する人工膵長期使用時の血糖値精度の推移とその変動要因
星野 正巳原口 義座酒井 基広林 和城三枝 弘志大澤 寛行
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2000 年 29 巻 2 号 p. 433-439

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抄録

敗血症14例を対象に人工膵STG-22 (延べ施行日数253日) の血糖値精度低下の推移と要因, 対策を検討した。【方法】精度指標は測定値の真値に対する割合の累積Xを用い, 採血チューブ・電極の電顕像も検討した。【結果】1) Xの最高・最低・終了時の平均は各々113.6±15.4, 54.1±24.8, 65.7±31.7%であった。2) Xの1日15%以上の増加は10.3%に, 採血ルートフラッシング時の急上昇が7.1%に見られた。3) Xの1日15%以上の急性低下は13.8% (17回) に生じ, 41% (7回) は測定不能となり採血ルート交換や運転の中止を要した。電顕で白血球等の付着を認めた。2例 (回) は採血ルート交換後も改善しなかった。【考察】Xの増加は採血ルートの血液成分付着除去, ポンプチューブへたり等で生じ, 値補正とブラッシングで対処可能と思われた。Xの低下は採血ルートの血液成分付着やカテーテル先端の血管壁近接等による採血不良が原因と思われた。急性低下時は採血ルート交換, カテーテル位置変更をすべきと考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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