抄録
1994~2001年の各年8~12月にキタムラサキウニ4万4千~19万4千個体を除去 した下北半島佐井村沿岸水深4~13mの1.2~4.15haの海底の計8箇所における入植海藻 を観察し,磯焼け海域からマコンブ漁場へと回復するための方法を検討した。キタムラサキウニ(現存量427g/m2)を 1994年9月に除去した海域には翌年2月にマコンブが入植し, 3月以降に優占群落となり,1996年7月に最大現存量10.1 s/ m2 が得られた。この間,キタ ムラサキウニを除去しなかった海域では,磯焼け状態が持続した。1995年から2001年にか けて毎年キタムラサキウニを除去した7箇所でも,いずれも除去翌年には,マコンブ優占 群落が形成された。これらの優占群落はいずれも経年的に縮小した。しかし,キタムラサ キウニ除去後最大8年間はマコンブの生育が認められた。上記より,当該磯焼け海域では, キタムラサキウニの除去によってマコンブ漁場へと回復させ得ることが分かった。