抄録
本研究では,ダイヤモンド砥粒を焼結させた中空円筒工具(ダイヤモンドコアドリル)による硬脆材料の溝加工に関して,高能率化ならびに高精度化を可能とする新しい加工法の確立を目的としている.そこで,ダイヤモンドコアドリル側に超音波領域の振動と低周波領域の振動を加工(X軸)方向に対して鉛直(Z軸)方向に各々あるいは同時に付加する複合振動加工方式を考案するとともに,実験装置を試作した.本報告では,工作物として用いたソーダガラスに対して一連の各種実験条件下で溝加工を行った際の基本的な加工特性を明らかにするが,ここでは,研削抵抗の測定や溝側面,ならびにエッジチッピングの性状評価と併せて,溝底面の性状評価を行った.その結果,無振動加工に比較して超音波振動や低周波振動を利用することにより研削抵抗は減少し,さらにそれらを複合させることにより研削抵抗の一層の減少をもたらすことが可能となった.また,精度面においても,溝側面の性状を良好にすることを可能ならしめることが明らかとなった.