2012 年 56 巻 8 号 p. 539-544
表面改質加工法の適用範囲拡充として,医療用ツールに使用されるサージカルスチールに対し,高品位加工と同時に表面改質効果を発現させることを試みた.WA,SA,A系という3種類のアルミナ系砥粒種類の違いが加工表面の状態,親水性へ及ぼす影響について評価した.A系アルミナ砥粒でELID研削を施したAシリーズの接触角は,他のシリーズの接触角よりも小さく,水に対する親水性に優れていることがわかった.また,A系アルミナ砥粒において,非晶質割合の多い砥粒を用いて加工した面が,最も高いAl元素検出強度および優れた親水性を示した.さらに,研削液温度を50℃に上げることにより,A系アルミナ砥粒におけるAl元素のワーク表面への拡散現象がより一層促進され,加工した面は,接触角27.8度という著しい親水性を示した.