2020 年 65 巻 7 号 p. 378-383
磁気バレル研磨法は,貴金属のロストワックス精密鋳造品のバリ取りや表面粗さ低減のために用いられている.近年,宝飾業界では従来よりも硬い材料(>200HV)が増加傾向にあり,作業者の経験に基づいて選定された条件では,要求される粗さを得ることができない場合がある.そこで,加工性能に関与すると考えられる,容器内に生じる水流に注目し,検討した.その結果,容器内には,磁石を固定した円盤の回転と同方向の水流と,逆方向の水流が生じることがわかった.また,水流が発生しなくなる条件があることもわかった.水流発生については,円盤の回転と同方向の水流はメディアの公転運動が,逆方向の水流はメディアの水かき運動が主な要因であることがわかった.これら2種類の水流が相殺される条件のとき水流が発生しなくなると考えられ,またこのとき高い加工性能を有することがわかった.