微細形状などの狭小壁面を有する部品の研削仕上げにおいて,粗粒の小径軸付砥石を用いる場合,砥石外周上の作用砥粒数が少ないため,良好な加工面を確保することが難しい.本研究では,回転運動する砥石を砥石軸方向に超音波振動させ,かつ砥石軸を砥石送り方向に傾斜させる超音波ヘリカルスキャン研削を適用した.この研削法では,砥粒が超音波振動することによって,砥粒軌跡同士の干渉が増加するので,研削痕が緻密になる.直径φ3.8mmの粒度120番のPA砥石で高速度工具鋼HSSの超音波ヘリカルスキャン研削実験を行った結果,研削面は砥粒振動振幅と砥石回転速度に対応した軌跡の干渉で形成され,超音波振幅や研削条件などによって砥粒軌跡が制御されていることを確認した.超音波ヘリカルスキャン研削は,慣用研削,超音波研削,ヘリカルスキャン研削に比べて,小径軸付砥石でも加工面性状が良好になり,研削抵抗を低減できることがわかった.