2023 年 67 巻 9 号 p. 509-516
本研究の目的は,プリント配線板の穴あけ加工における逃げ面摩耗,およびマ-ジン摩耗が,加工穴品質に及ぼす影響を明らかにすることである.逃げ面摩耗のみが発生しているドリル,およびマ-ジン摩耗のみが発生しているドリルを用いて,プリント配線板の穴あけ加工を行い,それぞれのドリルが穴位置精度,穴の曲がり,ならびに穴内壁粗さに及ぼす影響を検討する.マ-ジン摩耗は,逃げ面摩耗に比べて穴位置精度,穴の曲がり,および穴内壁粗さの加工穴品質を悪化させる.マ-ジン摩耗が大きくなるに伴い,穴あけ方向に垂直な平面上のリサ-ジュ曲線での切削力が大きくなり,穴の曲がり,および穴位置精度が悪化する.マ-ジン摩耗が発生したドリルを用いた場合は,逆テ-パのドリルマ-ジン部が穴内壁を擦過することで,ガラスクロスに,ほつれが生じる.このため穴内壁でのガラスクロスの突き出し量が大きくなり,穴内壁粗さが悪化する.