今日の生産分野ではIoT(Internet of Things)技術の発展に伴い,様々な時系列信号の収集が可能となった.このことから,理論的または実験的な法則に依存したル-ルベ-スによる異常検知手法に替わって,デ-タに基づく深層学習による手法が注目されている.本研究の目的は,振動,音,アコ-スティックエミッションなどの時系列信号から,切削工具の摩耗などによる切削加工の異常を検知するAIモデルの開発である.提案手法は,時系列信号から瞬時の振幅と周波数を特徴量として抽出するヒルベルト・ファン変換(Hilbert-Huang Transform : HHT)と,抽出した特徴量に基づき異常度合いの判定を行うCNN(Convolutional Neural Network)の2つの機能要素から構成されている.本報では,提案手法を疑似信号によって検証したのち,切削加工音に適用し,その性能について報告する.