2024 年 68 巻 4 号 p. 202-207
ワイドバンドギャップ半導体を用いた各種デバイスの実用化と普及が進むなかで,迅速なウエハ製造工程の開発が求められている.加工変質層の分析評価法として非破壊観測ができる顕微Raman断層イメ-ジング計測をSiCウエハおよびGaNウエハの各加工面に対して適用し,その計測特性を調査した.試料ステ-ジ移動刻み間隔0.3μmでの高精細Raman散乱スペクトルデ-タ収集により加工変質層の微視的な損傷分布特性を検出することができた.各材料の精研削面,粗研削面およびラップ加工面に対する主要な結晶面に沿った断層計測結果を比較し,加工機構に基づいた分析を行った.砥粒から直接応力集中を受ける亜表層領域での圧縮応力の残留,深層領域での特定結晶面に沿った損傷の進展,および粗研削における局所的な引張残留応力の生成などが観測された.