砥粒加工学会誌
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微粒子ピーニングによるガラスのナノテクスチャリングとそれを用いた粉体付着防止効果
川合 邑佳小玉 脩平佐藤 秀明亀山 雄高
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2025 年 69 巻 4 号 p. 208-214

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抄録

通常,脆性材料であるガラスへ噴射加工を施すと,脆性的な材料除去を通した粗面化が図られる.一方,ガラスに切削加工や研削加工を施す場合には,切込み深さの減少に伴い切りくず生成メカニズムが脆性モ-ドから延性モ-ドへと遷移し良好な仕上げ面を得られることが周知である.そこで本研究では,噴射加工の一種である微粒子ピ-ニングによって,ガラスにおいて延性的な加工メカニズムを発現させ,従来よりも微細な表面テクスチャを創製できないか検討を加えた.投射角度が小さい条件下では,ガラスが塑性流動して形成されたことが示唆される粒子衝突痕が観察され,その結果投射条件によっては0.1μm程度の寸法の微細な凹凸構造がガラス表面に形成された.この時形成された粒子衝突痕の深さは,ナノスクラッチ試験によるガラスの延性脆性遷移点と大きく乖離していないことも確かめられ,ガラスが延性的に加工されている可能性が示唆された.このようにして形成された100nmレベルのテクスチャの応用としてガラスへの粉体付着防止を想定し,テクスチャを創製したガラスへの粉体の付着性を評価する実験を行った.平滑面と比べて,テクスチャ面では粉体が付着しにくい傾向が認められた.その効果は,付着する粉体の寸法がテクスチャ面に存在する凸部間隔と同等かそれ以上である場合に顕著であった.

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© 2025 社団法人 砥粒加工学会
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