2025 年 69 巻 9 号 p. 493-500
産業用ロボットによる切削加工を実現するために,ロボットの手先にスピンドルモ-タを把持させて穴あけ加工を行い,ロボットの姿勢と切削力との関係を調べた.ロボットの姿勢ごとに動的可操作性楕円体(Dynamic Manipulability Ellipsoid: DME)を計算し,DMEの短軸方向に剛性が高くなることを切削力の振動振幅から示した.また,ロボットの特異点ではDMEの主軸長さが0となりその方向に剛性が最も高くなることから,特異点で加工を試みた.特異点では関節が急回転する問題があるが,逆運動学の解の種類の変更による特異点通過アルゴリズムを適用することで急回転は抑えられ,特異点を含む広い範囲でロボット加工を具現化することができた.