2017 年 2 巻 2 号 p. 117-123
膝関節における運動器疾患では内側広筋の筋緊張低下の改善に難渋する.本研究は循経取穴による鍼刺激が膝関節伸展運動時の大腿四頭筋の筋機能に与える効果を検討した.
対象は健常者9名とした.課題は経穴刺激(太白穴),非経穴刺激,無刺激とし,膝関節伸展を膝関節屈曲60°,最大随意収縮60%での等尺性収縮で置鍼刺激開始前,開始直後,5分後,10分後,15分後で行い,内側広筋斜頭,内側広筋長頭,大腿直筋,外側広筋の表面筋電図を各3回5秒間計測した.
経穴刺激群での内側広筋斜頭の筋電図積分値は,置鍼刺激15分後に有意な低下を認めた.
太白穴を用いた鍼治療では置鍼15分後において内側広筋斜頭の疲労緩和と筋機能向上に対する効果がみられた.