日本細菌学雑誌
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平成19年黒屋奨学賞受賞論文
ボルデテラ属細菌のタイプIII分泌機構より分泌される蛋白質の機能解析
桑江 朝臣
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2007 年 62 巻 2 号 p. 241-246

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抄録
百日咳菌に代表されるボルデテラ属細菌は多くの病原細菌と同様にタイプIII分泌機構とよばれる病原因子分泌機構をもっている。本研究ではボルデテラ属細菌のタイプIII分泌機構から分泌される蛋白質を同定し, それらの蛋白質の機能の解明を試みた。百日咳菌の類縁菌である気管支敗血症をモデル菌種として用い, 野生株とタイプIII分泌能欠損株の培養上清中に分泌される蛋白質を調べた結果, BopBとBopCの二つの蛋白質をボルデテラ属細菌の新たな分泌蛋白質として同定した。BopB欠損株は野生株に認められる溶血活性を保持していなかったことから, BopBはエフェクターとよばれる蛋白質群を宿主細胞に注入するために宿主細胞膜上に形成される小孔の構成因子であることが明らかになった。BopC欠損株は野生株に認められる哺乳類細胞に対する細胞傷害性をもっていないこと, さらにbopC 遺伝子を哺乳類細胞内で発現させた場合に宿主細胞膜の破壊が認められることから, BopCはボルデテラ属細菌の感染過程で宿主細胞内に移行し, 細胞傷害活性を発揮するエフェクターであることが明らかになった。
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© 2007 日本細菌学会
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