日本細菌学雑誌
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平成20年黒屋奨学賞受賞論文
腸管出血性大腸菌における病原性遺伝子の協調的発現制御機構
伊豫田 淳
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2008 年 63 巻 3 号 p. 407-415

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抄録
腸管出血性大腸菌(EHEC)が染色体上に保有する病原性遺伝子領域LEE(locus of enterocyte effacement)は,3型蛋白質輸送装置など宿主細胞への初期接着に必要な約40もの遺伝子から構成されている。LEEは腸管出血性大腸菌のプロトタイプと考えられている腸管病原性大腸菌で最初に同定され,両者はほぼ同じ遺伝子セットを保有しているが,これらの機能や発現制御機構にはいくつかの違いが見られる。LEE遺伝子の発現は富栄養条件下では抑制され,至適環境条件下で誘導が起こる。この発現誘導には,複数の制御因子による正または負の発現調節が必要であると考えられていたが,EHECにおいてその詳細は不明な点が多かった。本研究では,遺伝学的手法を用いてEHECにおけるLEEの発現を統括的に制御する因子を同定すると共に,様々な発現制御因子欠損株の解析から,LEEの遺伝子発現制御がべん毛やヘモリシンなどのLEE以外にコードされる蛋白質輸送装置の遺伝子発現制御と協調的に行われていることを明らかにした。
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© 2008 日本細菌学会
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