抄録
結核菌は通性細胞内寄生細菌であり,その感染防御には細胞性免疫の誘導が必須である。主なエフェクターはCD4+ 1型ヘルパーT細胞(Th1)とCD8+細胞傷害性T細胞(CTL)である。結核菌抗原のうち,適切な感染防御抗原に特異的なT細胞を効率よく誘導することが,新規の結核ワクチンに求められている。
種々の免疫方法が,結核菌に対する細胞性免疫誘導のために検討されてきた。DNAワクチンは安全にかつ効率よく細胞性免疫,特にCD8+ CTLを誘導できる。我々は,遺伝子銃法によるDNAワクチンの手法を用いて,結核菌抗原であるMPT51等に対する特異的T細胞エピトープを明らかにしてきた。弱毒リステリアをキャリアとしたAg85複合体DNAワクチンが結核菌感染防御免疫の誘導に有効であった。また組換えレトロウイルス導入樹状細胞ワクチンがCD8+およびCD4+ T細胞の誘導に有効であった。さらに組換えレンチウイルスを用いた経気道免疫が,肺局所におけるCD8+ CTLの誘導に有効であることを示した。本稿ではこれらの我々の研究の知見を軸に,結核免疫研究の動向を概説したい。