日本細菌学雑誌
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微生物学の進歩
感染特異的遺伝子発現ネットワークからの新展開
安倍 裕順相川 知宏中鉢 淳宮腰 昌利丸山 史人
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2014 年 69 巻 3 号 p. 539-546

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抄録

病原菌の遺伝子発現に関する研究は宿主環境を模倣したin vitro の解析を中心に行われ, 新規病原性遺伝子の発見や遺伝子発現制御ネットワークの詳細を明らかにしてきた。さらに, 近年のゲノム解析技術の進歩により病原菌感染時に特異的な網羅的遺伝子発現解析が可能になった。現在, 免疫応答や常在菌叢の変化など感染経過に伴う宿主環境の変化に病原菌がどのように応答し, 感染成立に必要な病原性遺伝子の発現はどう行われるのか, 病原菌による感染成立の全体像を正確に理解する研究が精力的に進められている。そこで, 本稿では感染環境中での病原菌の遺伝子発現に注目した最新の研究やこれを進めるうえで有用な成果を紹介する。

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© 2014 日本細菌学会
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