日本細菌学雑誌
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総説
レプトスピラ感染症
~ワイル病病原体発見から百年~
齋藤 光正Sharon Y. A. M. Villanueva増澤 俊幸柳原 保武吉田 眞一
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2014 年 69 巻 4 号 p. 589-600

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抄録
1914 年, レプトスピラがワイル病病原体として稲田龍吉, 井戸泰らによって発見されて, 本年でちょうど百年目を迎えた。レプトスピラ感染症は世界中に広く分布する人獣共通感染症である。わが国においては, 患者数は激減したが, この主たる理由は, 衛生環境が改善し, 農業の機械化, 作業者の長靴, 手袋着用など, 経皮感染の機会が減少したためであるが, 今日でもレプトスピラに感染する機会が決してなくなったわけではない。私達は新規に5 種類の選択剤を組み合わせて既存のレプトスピラ培地に添加して培養することにより, レプトスピラの増殖には影響を及ぼすことなく他菌の増殖を抑制できることを見出した。この方法を用いて環境中のレプトスピラの分離を試みた結果, レプトスピラは環境水, 土壌に広く生息しており, その中には病原性レプトスピラも含まれていることが明らかになった。このように環境中のレプトスピラのエコロジーが明らかになるにつれ, 土壌はレプトスピラのreservoir であり, 重要な感染源である可能性が出てきた。本稿ではこのほかに, 感染症流行国のフィリピンにおける野生ラット分離株とヒト臨床分離株の解析, 感染時の侵入門戸における宿主側の防御機構の解析, 主症状の一つである黄疸発症のメカニズムの解析, 尿中抗原迅速検査法の開発など, 我々のプロジェクトの成果を含め, レプトスピラ感染症に関する発見の歴史から最近の知見までを概説する。
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© 2014 日本細菌学会
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