日本細菌学雑誌
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2021年黒屋奨学賞受賞論文
ウエルシュ菌と宿主の相互作用に関する研究
竹原 正也
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2021 年 76 巻 3 号 p. 149-160

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抄録

A型ウエルシュ菌は,創傷感染して重篤な疾患であるガス壊疽を引き起こす。本菌によるガス壊疽には,主要な病原因子として同定されているα毒素が関与する。これまでに,α毒素は宿主免疫機構や末梢循環を障害して組織障害を誘導することが提唱されているが,本菌の高い病原性を説明する十分な知見は得られていない。著者はこれまでに,A型ウエルシュ菌による病原性メカニズムの解明を目的として,本菌による宿主免疫回避,筋組織障害,造血阻害,筋組織修復阻害,敗血症の発症などに着目し,検討を行った。本総説では,α毒素の作用を中心に,本毒素による骨髄好中球の分化抑制,血管内皮細胞の細胞死,赤芽球の分化抑制,筋芽細胞の分化抑制,Toll-like receptorsの過剰な活性化などについて,最新の研究成果とともに解説する。これらの機構は,α毒素が複数のステップで作用して宿主防御を撹乱し,A型ウエルシュ菌が極めて巧妙な機構で宿主を攻撃することを示しており,一連の研究成果により,本菌によるガス壊疽の発症メカニズムの解明や,新たな治療戦略の創出が期待される。

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