2021 年 76 巻 3 号 p. 161-174
細菌感染症における抗菌薬耐性の問題は医療現場にとって大きな問題である。特に現在の医療現場で使用頻度の高い第3世代セファロスポリン系抗菌薬やフルオロキノロン(FQ)系抗菌薬に対して,基質拡張型β-ラクタマーゼ産生(ESBL)およびFQ耐性大腸菌が我が国でも近年増加傾向である。一方で,多剤耐性菌への切り札や最終選択薬となるタゾバクタム-ピペラシリンやコリスチン,チゲサイクリンといった抗菌薬も医療上重要である。頻用性の高い抗菌薬耐性と比較すると耐性菌の分離率は低いながらもこれらに耐性を示す腸内細菌科細菌の報告がなされている。著者はこれまでに臨床現場から分離された細菌の薬剤耐性と多剤耐性化に関する研究を行ってきた。特に上記のような治療上重要となる抗菌薬耐性に関する細菌学的解析を札幌医科大学および札幌市内の医療施設の臨床検体から分離された大腸菌を中心に行なってきた。本稿ではこれまでに著者が得てきた知見を紹介させていただく。