日本細菌学雑誌
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総説
ヒトのロドコッカス・エクイ感染症:新興人獣共通感染症
髙井 伸二水野 泰孝鈴木 康規佐々木 由香子角田 勤切替 照雄
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2024 年 79 巻 1 号 p. 15-24

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抄録

ロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)は子馬に細菌性肺炎・腸炎を引き起こす細胞内寄生性のグラム陽性球桿菌で,獣医学領域ではよく知られているが,ヒトでは1968年の初発以来これまでに300を越える症例報告がある。その多くはHIV感染,臓器移植,腫瘍などの基礎疾患を持つが,健常人における感染症例も認められる。R. equiの毒力はプラスミドにコードされた毒力関連抗原(Virulence-associated protein antigens: Vap)に規定される。これまでに,宿主特異性を示す3種類の病原性プラスミド;馬と豚の病変部分離株から1991年と1995年に環状プラスミドpVAPAとpVAPBが,牛と山羊病変部分離株から2015年に第三の新規線状プラスミドpVAPNが発見された。そこで,著者らが1994年と2003年に報告したヒト由来株を再検査したところ,3種類の病原性プラスミドは既に1980–90年代の患者分離株に存在していた。馬のみならず,豚,牛,山羊などの家畜と飼育環境がヒトの本菌感染症における感染源として重要であり,新興人獣共通感染症であることが再確認された。本稿ではRhodococcus属菌によるヒトの感染症の概要と,最新の知見を解説する。

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