2020 年 56 巻 7 号 p. 1114-1122
胸骨裂は胸骨の先天異常により発生する比較的稀な疾患である.症例1:2歳女児.呼吸時に頸部が突出するため当科を紹介受診した.上部胸骨裂と診断し,手術を行った.胸骨櫛の軟骨膜を剥離したが,緊張が強く,一部肋軟骨を切離した.胸骨下部癒合部は楔状切除し,軟骨膜,大胸筋膜を閉鎖後,胸骨閉鎖を行った.術後8日目に退院した.症例2:2か月女児.出生後より胸骨上窩の陥凹に気づかれ,当科を紹介受診した.完全胸骨裂と診断し,手術を行った.軟骨膜を剥離・閉鎖後,下部はほとんど癒合を認めず,完全に離断した.胸腺右葉を摘出し,一部肋軟骨を切離し,胸骨を閉鎖した.初回閉鎖時に血圧低下を認め,カテコラミン投与下に閉鎖を行った.術後9日目に退院した.胸骨裂は診断がつき次第,新生児・乳児期の手術が望ましいとされているが,周術期の呼吸循環管理に難渋する症例も散見されるため,手術時期,術式の検討が肝要である.