日本細菌学雑誌
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ブタより分離した耐性大腸菌,とくにアンピシリンとカナマイシン耐性について
鈴木 要磯貝 誠吾橋本 一
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1971 年 26 巻 10 号 p. 488-492

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抄録
100頭以上飼養している養豚農家よりおのおの1頭ずつ計114頭のブタを対象として耐性大腸菌,とくにアンピシリン(APC),カナマイシン(KM)耐性大腸菌の耐性型と,そのR因子型を調べて次の結果を得た。
1. ブタではAPC耐性菌17%, KM耐性菌が19%と比較的高頻度に分離された。これはヒトからの赤痢菌に比べればかなり多い。
2. 検査数114頭中,耐性菌保有頭数はSM 96頭(84%), TC 91頭(80%), SA 68頭(60%), APC 19頭(17%), KM 23頭(19%), CM 3頭(3%)でNF耐性菌保有ブタはいなかつた。
3. 総分離株数は214株で,その耐性型はTC・SM・SA 25%, TC・SM 24%と両者で49%を占め,その他16種の耐性型はいずれも10%以下であつた。
4. 耐性菌214株中R因子保有は69株32%で,これを耐性型からみると,TC・SM・SAの組み合わせからなる耐性型より,これらにAPCの結合した株の方がR因子の保有率が高い傾向がうかがわれた。
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