日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
ケージおよび平飼い育成が産卵鶏の能力におよぼす影響
II. 産卵期間における影響
中沢 稔古田 賢治
著者情報
ジャーナル フリー

1965 年 2 巻 3 号 p. 174-179

詳細
抄録
鶏のヒナの育成方法は育成結果に影響をおよぼすのみならず, その後の産卵や生存等の経済形質に影響することはよく知られている。前報1)においてW.L.×W.L., W.L.×B.P., W.L.×N.H. の3種類のヒナを全期間ケージで育成したもの, 11~20週齢および7~20週齢を平飼いで他をケージにより育成した結果, 平均体重の増加はケージ区が多く育成率には差のないことを認め報告した。
本報告はかかる育成方法が産卵期間におよぼす影響を検討したものである。即ち, ケージと平飼いで育成した鶏を21週齢に体重の重いものから各区45羽を選び, 単飼ケージに収容し55週間にわたり飼養試験を実施した。給与した飼料は市販産卵鶏用のものである。
初産日齢はケージ育成したものが短かく, 種類別では白色レグホーン種より品種間交配種のほうが短かく, いずれも5%水準で有意であった。平均産卵率は65~72%の範囲にあり, 月別の産卵状況にも一定の傾向がなく, 鶏の種類や育成方法による差はみられず統計的な有意差を認めなかった。平均卵重はケージ育成区がやや大きかったがケージ育成の影響か否か明らかでなかった。生存率, へい死病因についても一定の傾向はなく差を認めなかった。
以上のように, ケージ育成と平飼い育成が産卵期間の幾つかの経済形質におよぼす影響には差がなく, 年間の育成回数の多い場合, 一回の育成羽数が多い場合等, および疾病の予防にはケージの利用が有利となるから, ケージ育成は有効な育成手段の一つであると考えられる。しかしケージ育成の場合には往々にして1羽当りの収容面積が狭くなりすぎ, 成長の低下や育成率の低下がみられ, これが産卵期の経済形質に悪影響をおよぼすことがあるから, ケージ育成では中•大雛期のヒナ1羽当りの収容面積として0.16~0.18m2程度は必要であろう。
著者関連情報
© 日本家禽学会
前の記事 次の記事
feedback
Top