日本細菌学雑誌
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鶏卵のArizona汚染に関する実験的研究
I. 卵殻通過なちびに増殖について
刑部 陽宅山崎 茂一石倉 康宏
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1971 年 26 巻 7 号 p. 288-293

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抄録
鶏卵のArizona汚染の原因を調べるために,卵殻通過と卵内増殖に関する実験を行ない,以下の成績を得た。
1. 鶏卵をArizona培養ブイヨンに瞬時浸漬後とりだし,25Cにおいた場合,卵殻を通過した菌が卵黄に達するには10日以上を要する。しかしいつたん卵黄中に菌が入ると,1∼2日で卵白,卵黄中でともに108/mlと急激な増殖が認められた。
2. Arizonaの卵殻通過率は湿度50∼90%では低率であるが,95%以上では著しく増大した。この現象は卵殻表面における菌生存率ならびに運動性と関連づけられた。
3. 卵黄中でのArizonaの増殖は良好であるが,卵白中では菌の増殖は悪かつた。そして至適発育温度は卵黄ではほぼ37Cであるが,卵白では25C付近にあることが特異的であつた。以上の結果,Arizonaは卵殻を通過し,卵内で増殖することが明らかとなつた。
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