日本細菌学雑誌
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鶏卵のArizona汚染に関する実験的研究
II. 雛ならびに成鶏に対する経口投与実験
刑部 陽宅山崎 茂一石倉 康宏
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1971 年 26 巻 7 号 p. 294-297

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抄録

鶏卵のArizona汚染と感染母鶏の関連性を追求するために,雛ならびに成鶏を用いて同菌による経口的感染実験を行ない,次の成績を得た。
1. 成鶏4羽に40mg/羽,20日後,400mg/羽の経口投与を行なつたところ,その排菌は2∼7日であつた。しかし初回投与40日後剖検し,各臓器(心,肝,脾,腎,卵巣,輸卵管,腸)の菌分布を調べたが,4羽とも全く陰性であつた。実験期間中に産卵された卵,106個についても卵殻膜に1例の陽性卵を認めたのみで他は全く陰性であつた。
2. 1, 7, 14日令各雛(各々50∼69羽)に1mg/体重36gのArizonaを経口投与し,投与後4∼40日における各臓器(心,肝,脾,腎,残留卵黄,腸)の菌検索を行なつた結果,1日令雛にのみ,投与4日後で各臓器で高い検出率をしめし,20, 40日後ではほとんど検出されなかつた。
3. これらArizona投与前後の成鶏ならびに雛の血中抗体はO, H凝集素とも全く認められなかつた。

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