日本細菌学雑誌
Online ISSN : 1882-4110
Print ISSN : 0021-4930
ISSN-L : 0021-4930
F群溶血レンサ球菌のRタンパク抗原の存在
特にO'Mahoney (Colindale)菌株からの証明
中山 安彦前川 静枝
著者情報
ジャーナル フリー

1979 年 34 巻 4 号 p. 677-684

詳細
抄録

F群溶血レンサ球菌(以下F群溶レン菌と略す)であるO'Mahoney (Colindale)株のトリプシン処理菌体抽出抗原は,対応する菌体免疫血清との反応をOuchterlonyの寒天ゲル内沈降反応法と免疫電気泳動法によつて分析した結果,すでに報告されているF群特異多糖体抗原の他に,血清学的にそれぞれ特異性を異にするところの少なくとも3種類のタンパク抗原を有することが判明した。これらのタンパク抗原は,いづれもRタンパク抗原の性状に一致しており,Mタンパク抗原が不活化されるトリプシンに安定で,Tタンパク抗原が不活化されるpH 2.0, 100C, 15分加熱の処理に対しても安定であり,ペプシンの作用ではじめて抗原活性を失つた。
3種類のタンパク抗原のうち1種は,Lancefieldの提唱する28R抗原の沈降線と明瞭なspur形成を示すことから,28R抗原と一部共通する抗原であるが,他の2種の抗原は,M, Tタンパク抗原およびB群に証明されているIbcタンパク抗原とは血清学的に一致せず,F群溶レン菌のO'Mahoney (Colindale)株に特異なタンパク抗原である可能性が示唆された。

著者関連情報
© 日本細菌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top