日本細菌学雑誌
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南極における人為汚染調査に関する指標としての一般細菌および真菌総数について
1. 第18次観測隊採取の土壌を中心として
豊田 小夜子松前 昭廣合田 朗相磯 正幸
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1986 年 41 巻 2 号 p. 527-534

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抄録
南極の昭和基地周辺地域における人為汚染の実態を明らかにするために細菌学的調査を行つた。調査対象は,第15次隊医学担当隊員によつて設置した定点65個所,オングル・カルベン島7個所,第13次越冬隊の残していた糞便およびその周辺土壌3個所,合計75個所から採取した土壌である。これらの土壌からは人為汚染の指標となる大腸菌は分離されなかつた。そこで,一般細菌および真菌総数を調べた。昭和基地の宿舎を中心として,その周囲100m以内では,一般細菌総数が102∼5colonies/g (37C),104∼7colonies/g (18C)であり,一般真菌総数は102∼6colonies/g (18C)であつた。さらに宿舎から200m以上離れるにしたがつて,それらの総菌数は0∼102colonies/gと減少した。この事は,隊員の行動頻度と関連性があると考えられ,人為的汚染であろうと推測された。この自然環境下にある南極の昭和基地において,一般細菌および真菌総数試験は,細菌学的環境評価の一方法として有効であることを報告した。
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