抄録
MRSAは, 2つの遺伝学的因子から構成される。一つは mec DNAで, もう一つは mec DNAが挿入される黄色ブドウ球菌 (MSSA) の染色体である。mec DNAには3つのタイプが存在し, MSSAの染色体は, 黄色ブドウ球菌の多様性を反映した様々なタイプが存在する。後者は, リボタイピングを用いて分類することができる。従って, mec DNAタイピングとリボタイピングを組み合わせて用いることによって, MRSA株のゲノタイプを表記することができ, そのゲノタイプはその株が由来した最初のMRSAのゲノタイプ, すなわちクロノタイプを反映していると考えられる。また, MRSAのゲノタイプは, mecl 遺伝子の多様性を決定することによってさらにサブタイプに分類することができる。MRSAのゲノタイプとサブタイプは, その菌株の進化の過程を反映しているため, MRSAの疫学における生物学的, 遺伝学的基礎となるものである。