抄録
GPI (グリコシルホスファチジルイノシトール) アンカータンパク質は, 真核生物の細胞質膜に広く存在し, 現在までに知られているだけでも100種を越えるが, 最近, 古細菌にも存在することが示された。これらのタンパク質は, C末端に結合したグリカンとイノシトールリン脂質から成るアンカー (錨) によって膜に繋留されている。GPIアンカー部の構造は多様性に富むが, コア構造は種を越えて共通に保存されている。このアンカー構造, アンカー前駆体の生合成系とその不全による疾患 (発作性夜間血色素尿症, PNH), 小胞体膜上で展開されるGPIアンカー前駆体によるタンパク質の翻訳後修飾, 修飾を受けるタンパク質のC末端シグナルペプチドおよびGPI付着部位の条件, GPIアンカータンパク質の細胞内輸送, GPIアンカータンパク質の生物学的役割とアンカーが持つ機能などについて, これまでに蓄積された分子生物学的な知見を述べる。