日本消化器集団検診学会雑誌
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大腸がん検診における大腸内視鏡検査受診歴と腺腫, 早期がん病変を新たに認めるリスクについて
西田 博谷 知子原田 明子松本 貴弘辰巳 嘉英
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2003 年 41 巻 6 号 p. 574-581

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抄録

過去に精検 (全大腸内視鏡検査) を受診し「病変なし」と診断された者がその後の検診で便潜血陽性となった場合, 新たに早期がん等の病変を指摘されるリスクが, 全く精検受診歴のない者と比較して低下するか, logistic回帰分析を用い検討した。早期がんについては診断前1, 2, 3年以内の受診歴でオッズ比は0.17 (0.04-0.70), 0.13 (0.04-0.42), 0.10 (0.03-0.31) であった (括弧内は95%C. I.)。1, 2年以内のオッズ比が3年以内のそれよりも大きい値をとる原因として以前の精検での見逃しの可能性が考えられた。検診のターゲットを早期がん及びそれ以上の進展病変とするならば, 過去に「病変なし」の全大腸内視鏡による精検受診歴があるならば検診間隔延長の可能性が示唆された。ただし, そのためにはこれまで以上に精検に対する精度管理が求められると考えられる。

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