日本細菌学雑誌
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AAA+プロテアーゼによるサルモネラの病原性発現制御機構に関する研究
高屋 明子
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2006 年 61 巻 2 号 p. 243-250

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抄録

本研究の発端は, 細胞内寄生細菌であるサルモネラが宿主内環境に適応するために, 感染後に発動される生体防御機構に応答して新たなゲノム活動を開始させると予想したことにある。新たに生じた蛋白質が病原性発現調節機構に関与する可能性について研究を進めたところ, サルモネラはマクロファージに貪食された後, ストレス蛋白質と呼ばれる一群の蛋白質群を誘発すること, さらにこれら蛋白質群の数種がサルモネラ病原性発現に必須であることを見出し, ストレス蛋白質が病原因子であることを明らかにした。ストレス蛋白質は一般に細胞内蛋白質の品質管理における機能について研究が進められているが, 我々は特異的な基質蛋白質の活性調節を介して病原因子の産生調節を行うことを明らかにした。本稿では, ストレス蛋白質の機能と最近の知見を交えて, 我々が行ったストレス蛋白質による病原性発現調節機構について紹介する。

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